わたしはお酒に強い体質だった。
決してお酒の味が好きなわけではなく、
甘ければ度数が高くてもいくらでも飲めた。
わたしの顔を見てマスターが「カルア?」と
確認してきてたころが懐かしい。
いくらでも飲んだけど
理性を失ったことはなく
顔色が変わらないがゆえにママに「キティちゃん」と呼ばれていた。
チューハイがおいしいけどいつまでも酔えず
早く酔いたいただそれだけで
ウイスキーのストレートを飲みだすのに時間はかからなかった。
酔い潰す目的で飲ませようとする男性に
「同じものを交代で飲んでくれるなら」
と提案し、霧島のストレート一気飲み対決に持ち込んで返り討ちにしたことも何度もある。
酒で過ちを犯したことはない。
記憶をなくしたことがないのだ。
父が酒豪だった遺伝だと思われる。
それが今では、酒を飲むと喉が焼けるからと
一切飲まなくなった。
歌声が年齢不詳の繊細な女の子の声をしているため守りたい。
でもたまに飲みたくなる。
それを1滴たりとも緩めないほど、
歌はわたしにとってまだ手放せないものなのだろうな。