わたしは音楽難民だ。
否、師匠難民だ。
その才能に惚れて、
今までウィキペディアに載ってるような実力者たちに師事してきた。
その行動力は我ながら偉い。
だがわたしが鈍ければいいのだが、
全身第5感+シックスセンスをもって
彼らにとって女としても才能としても
好みではないことを悟ってしまうのだ。
初日にである。
わたしなら、ひとつでもいいところを見つけ
褒めちぎって伸ばし切る。
母性が強いからできることかもしれない。
福岡には、音楽のために行くんだよと
見えないものに言われていた。
よつばのためでも好きな人のためでもなく。
そして福岡で就職して2日目の研修で
まるで受粉する蜂のような役割の男の子の
所属していた音楽アカデミーに入った。
霊感の強い方たちの集まりだった。
彼らは、わたしの歌声がいいと言ってくれ
わたしは自分の声を初めて好きになれた。
でも体を壊してしまい、
延岡に帰ってくる頃には歌えなくなっていた。
今の職場にも歌の先生がいる。
中年の女性の先生だ。
わたしは好きな先生の科目は高得点を出すが
先生が嫌いだと5点とか平気で取るので
相性が90%と言っても過言ではない。
女同士だし、職場だしなかなかうまくならず
噂にされたらどうしようとか思って
諦めかけていた。
でもここ数日で、
ウクレレを習っているおばあちゃんが
弾き語りが歌えないので発声を習いたいとか、
障害者のかたが少しでも外に出るために
歌を学びたいとかそんな問い合わせが続いている。
わたしでも大丈夫かな。
もしここで歌を続けられたら幸せだろうな。